制作会社と連絡が取れない?サイト移管でディレクターから「感動しました」と言われた技術アドバイザーの立ち回り

フリーランスのフロントエンドエンジニアとして活動していると、技術的な実装だけでなく「相談役」としてプロジェクトに参加することがあります。

先日、パートナーのディレクターさんから、あるWordPressサイトの移管について相談を受けました。状況は「現制作会社のレスポンスが悪く、詳細が不明」という、少し雲行きが怪しいスタート。

結果として、ディレクターさんから「感動です!」という言葉をいただけるほどスムーズに進行できたのですが、今回は技術者が「ただ作業をする」のではなく、「どうパートナーを支えるべきか」という視点で振り返ります。


1. 移動中の第一報。プロがまず確認すべき「急所」とは

相談を受けたのは、私がちょうど移動中のタイミングでした。
「概算の見積もりが欲しい」という要望に対し、詳細なヒアリングを待っていては時間が溶けてしまいます。

私がまず確認したのは、技術的に最も工数が変動する「ドメインとサーバーの変更有無」です。

  • サーバー変更: データの引っ越し、メール再設定の工数
  • ドメイン変更: URL置換、SEO評価を引き継ぐ301リダイレクトの技術リスク

この2点が「未定」のままでは、見積もりは10万にも200万にもなってしまいます。移動中の限られた時間で「ここだけは外せない」という急所を即座に問いかけたことが、その後のスピード感に繋がりました。

2. 「見えない作業」を言語化して安心感を作る

サーバーは「エックスサーバー」を継続利用することが分かりましたが、ドメインは未定。
ここで、私は2パターンの概算を提示しました。

  1. ドメイン変更なし:5万円(税別)
  2. ドメイン変更あり:15万円(税別)

一見、サーバーを動かさないなら「何もすることがないのでは?」と思われがちです。しかし、前業者が不明な状況では、以下の「見えないリスク」への対策が不可欠です。

  • 管理権限の正常化: 前業者のアカウントを抹消し、安全な管理体制を再構築する。
  • インフラの健康診断: 放置された脆弱性がないかコードレベルで点検する。
  • バックアップの再整備: 前業者に依存しない独自の復旧ルートを確保する。

これらを「初期整備費」として論理的に説明することで、ディレクターさんもクライアント様へ自信を持って提案できるようになりました。

3. GASによる「選べる保守メニュー」で商談をサポート

月額の保守費用についても相談を受けました。
チャットで長々と金額を書くのではなく、今回はGAS(Google Apps Script)を使って、一瞬で「保守項目一覧シート」を生成。

  • 標準的な相場を可視化
  • 「どこまでをプロに任せるか」を選べるメニュー方式
  • 「AI活用」による付加価値の提案

これらをスプレッドシートとして共有しました。
資料化されていることで、ディレクターさんはそのままクライアント様と画面共有しながら「松・竹・梅」のプラン相談ができます。

技術者の役割は、コードを書くだけではありません。「パートナーが商談で使うための武器」を用意することも、大切な仕事の一つです。

4. 2026年の保守は「守り」から「攻め」へ

今回の提案で特に意識したのが、「AI利用(AI utilization)」を保守メニューに盛り込んだことです。

これまでの保守は「壊さない、止めない」という守りの作業が中心でした。しかし、今はAIを活用して「運用の手間を減らし、コンテンツを強化する」という攻めの提案が可能です。

  • AIによる記事下書きの生成サポート
  • 最新トレンドに基づいたSEOアドバイス

「ただ維持するだけなら安く済むけれど、AIを活用すれば運用の価値が上がる」。
この視点を加えることで、価格競争ではない「信頼される技術パートナー」としてのポジションが明確になります。

5. まとめ:技術者の価値は「相手を勝たせること」にある

後日、ディレクターさんから「平林さんの立ち回りに感動しました!」というメッセージをいただきました。

今回私が意識したのは、以下の3点です。

  1. 最速でリスク(ドメイン/サーバー)を仕分ける。
  2. 技術的な根拠を、非エンジニアが説明しやすい言葉に翻訳する。
  3. パートナーが商談で使える「武器(資料)」を先回りして提供する。

SIerでの20年以上の経験と、最新のAI技術。これらを掛け合わせることで、単なる「作業の外注先」ではなく、「ビジネスを加速させるパートナー」でありたい。

改めてそう感じたプロジェクトでした。


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