「安さ」で勝負しない。フリーランスが保守契約で損をせず信頼を勝ち取るためのプラン設計術

はじめに:他社の「月1万円」にどう対抗するか?

Web制作の案件を無事に納品した後、必ずと言っていいほど話題に上がるのが「保守契約」の話です。

先日、メンタリングをさせていただいている受講生の方から、こんな切実なご相談をいただきました。

「クライアント様から保守の相談をされたのですが、他社から『月1万円でプラグイン更新とバックアップ』という提案を受けているそうです。それ以下なら検討しやすいと言われているのですが、初めての保守でどう設計すればいいか分からなくて……」

フリーランスにとって、毎月の安定収入(ストック収入)になる保守契約は非常に魅力的です。しかし、安易に「じゃあ、うちは9,800円で何でもやります!」と受けてしまうと、後に「時給割れ」や「賠償トラブル」という事態を招くリスクがあります。

今回は、私の経験とフリーランスとしての知見をもとにアドバイスした、「損をせず、かつ競合に勝てる保守プランの作り方」の裏側を公開します。


1. 「松竹梅」の提案でクライアントの視点を変える

他社が「1万円」という一点張りの提案をしてきているなら、こちらは「松竹梅」の考え方で対抗するのが定石です。単に安いプランを探させるのではなく、「どのレベルまでサイトを守り、育てたいか」という選択肢を提示します。

  • 梅:維持・防衛プラン(月額 9,800円)
    最低限の更新とバックアップ+アルファ。コスト重視のクライアント向け。
  • 竹:運用・改善プラン(月額 20,000円〜)
    定期的なアクセス解析レポートの提出や、月数時間の修正作業を含む伴走型。
  • 松:攻めのDX・集客プラン(月額 50,000円〜)
    SEOコンサルティング、コンテンツ制作支援、表示速度の最適化など、売上に直結する施策まで踏み込む上位プラン。

今回は競合の1万円プランに勝つことがミッションだったため、「梅プランの内容を圧倒的に手厚くしつつ、9,800円に抑える」という戦略を採りました。


2. 競合を圧倒する「手厚い保守」の具体的な中身

他社のプランが「更新とバックアップだけ」なら、そこに「安心」と「手間」を少しだけ上乗せします。

① 消失リスクを徹底的に排除するバックアップ体制

「バックアップを取っています」と言うのは簡単ですが、プロならその「質」にこだわります。

  • 頻度の分散:記事データ(DB)は毎日、システム全体(画像等)は週1回。
  • 場所の分散:サーバー内だけでなく、Googleドライブ等の外部クラウドへも自動転送。

これにより、万が一サーバーが丸ごと故障しても、確実に直近の状態まで復旧できる体制を整えます。プラグインを活用すれば、この設定は一度で自動化でき、私たちの手間は増えません。

② 「月間60分」の枠

他社のプランにない最大の武器が、「月間 合計60分までの軽微な修正作業」です。

クライアントにとって「テキストをちょっと直したい」「画像を1枚だけ差し替えたい」という時に、毎回見積もりを依頼するのは面倒なものです。
この「60分枠」があるだけで、クライアントの心理的な満足度は劇的に上がります。


3. 自分を守るための「鉄壁の免責事項」

保守契約で恐ろしいのは、「自分の責任ではない不具合」で何十時間も拘束されることです。

そこで、以下のルールを明確にしておくことが、フリーランスが生き残るための「盾」になります。

  1. 「軽微な修正」の定義を明文化する
    テキスト修正や画像差し替えなどに限定し、作業時間は合計60分以内と定義します。また、未使用時間の翌月繰り越しは不可にすることも重要です。
  2. 不具合調査も「60分枠」で対応する
    アップデートで画面が真っ白になった際も、まずは「60分の枠内で調査・復旧を試みます。それ以上の重度な障害は別途見積もりです」と伝えておくことで、無償での無限対応を防ぎます。
  3. 第三者攻撃の責任を負わない
    「最大限の復旧支援は行いますが、完全な復旧・賠償を保証するものではない」という一文は、リスク管理として必須です。

まとめ:信頼は「責任範囲の明確化」から生まれる

今回アドバイスさせていただいた受講生の方は、これらのポイントを整理したことで、自信を持ってクライアント様へ提案に行かれました。

保守契約は、単なる「作業の切り売り」ではありません。
クライアントには「安心」を、自分には「適正な利益」をもたらすための、プロとしての約束事です。

もし、今「保守料金を安くしすぎて疲弊している」あるいは「責任範囲が曖昧で怖い」と感じているなら、一度ご自身のプランを「リスク管理」の視点で見直してみてはいかがでしょうか。


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