DNS切替前にWordPressの動作確認をする方法|hostsファイルを使った移行チェック

先日、クライアントのサーバー移管をサポートする機会がありました。

旧サーバーから新サーバーへWordPressを移す作業で、ドメインはそのまま維持しつつ、サーバーだけを切り替えるという構成です。こういった移管では「新サーバーに移したあと、実際に動くか確認してからDNSを切り替えたい」というニーズが必ず出てきます。

そのときお伝えしたのが、hostsファイルを使ったドメイン切替前の動作確認方法です。この記事ではその手順を解説します。

hostsファイルを使う理由

通常、ブラウザにURLを入力するとDNSサーバーに問い合わせて「このドメインはどのIPアドレスか」を解決します。

hostsファイルはその手前で参照される、PCローカルの名前解決リストです。ここにドメインとIPの対応を書いておくと、DNSを無視してそのIPへ直接アクセスします。

つまり、「一般ユーザーには旧サーバーを使わせたまま、自分のPCだけ新サーバーに接続して確認する」ことが可能になります。本番環境に影響を与えずに、移行後の状態を事前に検証できるのが最大のメリットです。

hostsファイルを使ったサーバー移行確認の仕組み 通常時とhostsファイル書き換え後のアクセス経路を比較した図。通常時はDNS経由で旧サーバーへ、hosts書き換え後は自分のPCのみ新サーバーへ直接接続する。 通常時 一般ユーザーのアクセス経路 あなたのPC (一般ユーザーも同様) DNS 名前解決 旧サーバー 本番稼働中 hostsファイル書き換え後 自分のPCだけ新サーバーを参照・一般ユーザーには影響なし 自分のPC hosts書き換え済み DNS スキップされる 新サーバー 移行後の環境 DNSを参照せず直接接続
上:通常のアクセス経路(DNS経由で旧サーバーへ)/下:hosts書き換え後(自分のPCのみ新サーバーへ直接接続)

hostsファイルの場所と書き方

Windows の場合

ファイルの場所はこちらです。

C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts

メモ帳を「管理者として実行」して開いてください。通常の起動では保存できません。

Mac / Linux の場合

/etc/hosts

ターミナルから以下のコマンドで編集します。

sudo nano /etc/hosts

追記する内容

ファイルの末尾に、以下の形式で追記します。

新サーバーのIPアドレス ドメイン名

wwwあり・なしの両方を記載しておくと安心です。

203.0.113.10    example.com
203.0.113.10    www.example.com

IPアドレスはさくらインターネットであればサーバーコントロールパネル、エックスサーバーであればサーバー情報ページから確認できます。

書き換え後の確認手順

①ブラウザのキャッシュをクリアする

ブラウザが以前の接続先を覚えている場合があります。Chromeであれば Ctrl + Shift + Delete(Macは Command + Shift + Delete)でキャッシュをクリアしてください。

②本番URLでサイトにアクセスする

https://example.com のように、普段と同じURLで開きます。hostsの設定が効いていれば、新サーバー上のWordPressが表示されます。

③WordPress管理画面にもアクセスして確認する

https://example.com/wp-admin にアクセスし、ログインできるかどうかも確認します。

④確認が終わったらhostsを元に戻す

追記した行を削除するか、行頭に # を付けてコメントアウトしてください。

# 203.0.113.10    example.com
# 203.0.113.10    www.example.com

確認しておきたいチェックポイント

「トップページが見える」だけでは不十分です。DNS切替後のトラブルを防ぐため、以下を合わせて確認しておくことをおすすめします。

  • トップページ・固定ページ・投稿ページが正しく表示されるか
  • 画像・CSS・JavaScriptが崩れていないか
  • WordPress管理画面にログインできるか
  • 問い合わせフォームのメール送信が機能するか
  • SSLが正しく設定されており、httpsで接続できるか
  • プラグインの動作に異常がないか

特にメール送信とSSLは移行後に発覚しやすいトラブルです。hostsで確認できる段階で一通りチェックしておきましょう。

注意点:hostsを書き換えたままにしない

hostsを書き換えたまま放置すると、DNS切替後も自分のPCだけ意図しないサーバーへ接続し続けるといった混乱が起きます。確認が終わったら必ず元に戻す習慣をつけてください。

チームで作業している場合は、誰がどのPCで確認しているかを共有しておくと安全です。

DNS切替のタイミングと流れ

hostsによる確認が完了したら、いよいよDNSの切替です。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. ドメインのDNS設定(AレコードまたはNSレコード)を新サーバーのIPに変更する
  2. TTL(キャッシュ時間)が短ければ数分〜数十分、長ければ最大48時間で反映される
  3. 浸透が完了したら、全ユーザーが新サーバーへ切り替わる

TTLは切替前に短くしておくと(例:300秒)、万が一のロールバック時も戻りが早くて安心です。本番切替の数日前に変更しておくのがおすすめです。

まとめ

hostsファイルを使ったサーバー移行前確認は、DNSを切り替える前に本番と同じURLで新環境の動作を検証できる、シンプルかつ効果的な手段です。

「DNS切替したら表示が壊れた」「管理画面に入れなくなった」といったトラブルを未然に防ぐために、移行作業の標準手順に組み込んでみてください。


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